勝ちよりも価値を見出す

先週土日の地元ミニバスケの公式戦で、感激することがあった。
いや…大人のほうが勉強させられることとも言えることだ。
 
ここ数週間、随分とスランプに陥り意気消沈していた一人の子が、この二日間の公式戦の途中に大きく飛躍した。
その背景はいろいろあるが…塞ぎこんでいた状態を打破したのは間違いなく本人の意識。そこから読み取れる、我々事業者も襟を正したいこととは…

 

土曜日に何とか3回戦も突破するが…本人は相変わらずスランプ気味でファール(反則)も多かった。
翌日の準々決勝に臨むにあたり、土曜の帰路電車内で、談笑するチームメイトから離れて一人おれのところに近づいてきた。
 
実は日曜の試合は、学校行事の事情でチームメイト二人が不在。
「二人がいなくても…明日は絶対負けたくないんです。決勝戦まで行くために私はどうしたら良いのか…河合さんのアドバイスをお願いします!」
 
スゴイね…その姿勢と覚悟。
日頃からメンタル的なアドバイスしかしていない単なる街のおっちゃんのおれにまで聞きに来るだけでも「藁にも縋る思い」が伝わってくる。
 
これほどまで真剣な子供のまなざしって、こちらも凛とする。
生半可な返事はできない。
車中ではどんなアドバイスをしたかの詳細はともかく…その子は日曜の試合では、チームの救世主となった。
重苦しい場面を打破したのは、その子だった。

 

よく「子供にかける魔法の言葉」なんていう表現もあるけど…そんなマニュアル的なものなんて、おれにあるわけがない。
その子の育ってきた背景やその時の感情によってもかけた言葉がどんなものであっても、受け取り手の捉え方次第やし…
 

 
…でも、これだけは言える。
 
バスケが上手い子と、バスケはあまり上手くないが心が強くて仲間想いの子なら…後者の方が負けない。
勝ちに行くバスケではなく、重苦しい空気に負けないバスケをやってのけた。
前日までの長いスランプはなんやったんやろ?と思えるほど、おれの言葉なんかではなく、間違いなくその子は自ら覚醒していた。
そもそも、その子は…どんなにもがいても、どんなことをしてでも「負けたくない」…前日の帰路電車内でその言動を見せた時点で、もうこの子は充分成長していたと思う。
しかも「一緒に戦えない二人のためにも」っていう意識まで…
   
我々大人もビジネスをする上では、「勝ち続ける」よりも「いつも負けない」という感覚のほうが、細く長く生きながらえる気がする…。
勝ちに行く野望より、負けない笑顔って、愛されるしね…。
 
 
娘の小学生時代から、ミニバスケ監督がおっしゃる不変の言葉と信念がある。
 
「心が弱い子は、自分には甘くて人には優しくなれない。心が強くなった子は、必ず人に優しい子となる。バスケが上手い子より、まず強い心の子供を育みたい。」
 
 
日本経済の人材育成も、まずこの原点を見つめ直してもイイ。
 
「常に勝ちにこだわる」と「常に負けない」は微妙に違う。
勝ちを見出すより価値を見出す。
相手を負かすのではなく、自分に負けない。
自分に甘えがない人は、人に優しくなれる。
それが価値を産み出す一歩なんだと…。

 

これは、ビジネスマンにも同じことが言える。
ミニバスケには、人として大事な原理原則がたくさん溢れているとあらためて思わされた土日の二日間だった。